半導体製造用クリーンルームでは、様々なタイプのロボットが日常的に活躍しています。トラックガイド式、定置型や移動型ロボットが生産やローディング・アンローディングで使用されています。その中で、移動型ロボットの重要性が益々増しています。これは、トラックガイド式システムよりも柔軟性が高く、空間内で自由に移動できるためです。このロボットは既に現時点でFabmaticsにとって、マイクロチップの基板となる円盤状のシリコンであるウェーハの搬送におけるインテリジェントなロボットソリューションの開発に不可欠な要素になっています。特に自由に移動するHERO®FABでは、グリッパアームの安全性と位置決めの領域でSICKのセーフティレーザスキャナと光電センサが重要な役割を果たしています。目につきやすい技術ではありませんが、隠れた”安全性のヒーロー”としてHERO®FABの中で活躍しています。
中途半端な妥協なし – FabmaticsとSICKが移動型ロボットの安全性を確保
半導体生産のスペシャリスト
ドレスデンに本拠地を置くFabmatics GmbHでは、半導体産業で活躍する企業向けに自動化ソリューションとロボットソリューションを開発しています。同社は、クリーンルーム条件下での複雑な自動化システム、ロボットシステム、ハンドリングシステムを提供するための唯一無二のコンピテンスを有しています。マーティン・ドイムラー氏(Fabmatics、製品開発 & システム統合 グループマネージャー)は、「我々のさまざまなロボットたちは半導体生産における非常に高価な製品を搬送しているのだから、これは非常に責任の重い仕事だ。一軒家ほどの価値のあるものを我々のロボットは日常的に担いでいるのだから」と話しています。だからこそ、信頼性の高いソリューションを見つけることが大切です。SICKのようなパートナーの協力を得て、安全なモビリティのための条件が築かれます。ここでは、ハードウェアだけでなくソフトウェアの企画、開発、生産、設置、アフターセールスサービスまでがワンソースで提供されています。セーフティレーザスキャナ S300 Expertと将来的にはmicroScan3が空間内での水平防護と垂直防護におけるタスクを担います。小さく、賢く、軽いW2S-2シリーズの小型光電センサはグリッパアームによる積載と荷降ろしにおける高性能センサソリューションを実現します。
クリーンルームにもモビリティを
HERO®FABでクリーンルームにもモビリティをもたらします。すでに定着している清潔かつ安全なロボットシステムに革新的な無人搬送プラットフォームを組み合わせます。これは、生産コンテナにおける完全自動積載および荷降ろしと個々のプロセスステップ間の迅速な搬送、クリーンルーム内における中間保管を実現するために開発されました。具体的には、最大4個の容器が移動されます。クリーンルームでは大抵、それぞれ25個の200 mmまたは300 mmのウェーハを搬送させる容器が使用されていますが、HERO®FABの特殊仕様では、大型の60 lの水槽が使用されることもあります。元々すでに定評のあったレールソリューション HERO®Rail をもとにさらに開発された HERO®FAB では、レールやケーブルを使わずにクリーンルーム内を自由に移動することができるようになったのです。SICKのセーフティレーザスキャナによって、移動型ロボットに対象物の安全性や同じ作業スペースにいる人間と機械の相互作用に非常に高い安全要件を実現しています。相互作用度と現地での要件に応じて、様々なレベルでの人の安全性が確保されます。
小さな構造スペースにぴったり
超小型光電センサ W2S-2シリーズは、ロボットアームを安全に案内し、貴重な商品を確実に把持します。特に移動型ロボットでは既存するスペースのほぼ 80 % がコントローラに使用されていることもあり、構造スペースが非常に狭くなっているため、ここでは各部品のサイズが重要なポイントとなります。このため、W2S-2が採用されたのです。超薄型のG2フラットセンサによって、小型システムや非常に狭い構造スペースにもうまく統合させることができます。さらに、高性能な背景抑制によって、優れた検出機能も発揮します。また、非常に小さな対象物でも8 mmという距離から問題なく検出します。黒色の物体や鏡面反射する、または透明な対象物、もしくは光沢のある物体でも確実に検知します。
未来に向けた確かなインタフェース
移動型ロボットに安全制御装置を統合するためには、簡単なインストールがさらなるメリットとなります。好評を得ているインタフェース EFIを徹底的に改良したSafe EFI-pro Systemが移動型ロボットのインテリジェントな防護を実現します。産業用イーサネットベースのネットワークテクノロジーであるEFI-proは、あらゆる通信レベルを通して安全・非安全データを交換および転送します。その中枢コンポーネントがEFI-proゲートウェイです。これにより、高速で安全なネットワーク化が保証され、ロボット制御装置をイーサネット/IPTM CIP SafetyTMを介して安全制御装置Flexi Softに直接統合することが可能になります。つまりSafe EFI-proシステムは、デジタル転送への決定的なステップを進めるのです。
共に未来を
エレクトロニック & ソーラー部門でSICK担当キーアカウントマネージャーを務めるマーティン・ドイムラー氏とマイク・ケッティンガー氏は、成熟したSICKの技術が将来の協働業務に大きなプラスとなると信じています。「わが社の発展はダイナミックなプロセス。特に技術要件、仕様書の作成、問い合わせや意見交換時のすばやい反応という面で、SICKは理想的なパートナーである」とドイムラー氏は述べ、さらにケッティンガー氏は「私たちはお客様と共に課題に向けて成長している。それが毎日の推進力となっている」と付け加えています。
協働業務の成功の鍵は豊富な知識と高いレベルの技術的経験、そしてローカルなフットワークです。このようにして、パートナー企業とともに今後も成功への道を歩みます。移動型ロボットの継続的な開発は半導体産業に限らず、他の業界でも精力的に進められています。このため、ともに明日の課題を見据え、共有するノウハウを薬品業界や医療技術で活用する用意もあります。
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