スマートシティ – インテリジェントな未来の都市の構想により、私たちの住む都市はより効率的、より環境に優しく、より進歩的となります。そこで重要な役割を担うのが、たとえば乗客を自動輸送する自律走行車です。SICKはシーメンスのパートナーとして、ハンブルク市のハーフェンシティで実施されたパイロット・プロジェクトにおいて、安全に関する専門知識を提供しました。そこでの課題は、インフラ内に設置されたセンサを使用して、混乱した都市の状況下で人や物体を検出し、収集されたデータを使用して都市部を巡回する自律走行バスをサポートすることでした。
革新的なスマートシティプロジェクトを実施するための安全姓に関する専門知識
何百万もの測定データが数ヶ月にわたって分析・評価されました。2021年末、多くのプロジェクト参加企業がハンブルク市のハーフェンシティで自律型公共交通の未来をテストしました。自律走行する電気駆動のバスが、安全運転手を乗せたテスト運転として、合計5つの停留所を経由しながら1.8キロのルートを巡回し、このハンブルクの有名な地区で乗客を輸送しました。自律走行バスは、複雑な都市環境を走る中、インフラストラクチャ・センサからのサポートを受け続け、特に複雑なポイントではセンサがバスに周囲の追加データを提供しました。その目的はパフォーマンスを向上させること、そして何よりも、バス乗員と他の道路利用者の安全を確保することにありました。見通しの悪い交差点では、シーメンスとSICKが連携して、SICKのLiDARセンサ技術もテストされました。
このパイロット・プロジェクト期間中、バスは数ヶ月にわたり走行を続けました。それはセンサが交差点での広範な測定データを収集するのに充分な時間でした。
測定データを広範に評価
テストフィールドでは、複数のセンサシステムが使用されました。異なるシステムによるデータを直接比較することで、長所と短所を体系的に分析することが可能になりました。膨大な量のデータを処理するのは非常に困難でした。それにはSICKが自社開発したクラウドベースの分析ソフトウェアを使い、それにより重大な逸脱を自動的に特定し、安全に関連する状況を体系的に調査することが可能になりました。
プロジェクト終了後に明らかになったのが、このデータ駆動型のアプローチを利用すれば、混乱した都心部のシナリオであっても、センサシステムの性能と安全関連の特性について、確実な情報の提供が可能であるということでした。共同調査の結果はその後、システム全体の検証に組み込まれ、ミュンヘンで開催されたsafe.tech会議でシーメンスとSICKにより共同で発表されました。
シーメンス社のロルフ・シュミット氏(Senior Expert Validation)はこう述べます:「センサの堅牢性と信頼性に優れた検出とデータ収集の分野における、SICKの経験と専門知識が、プロジェクトの目的達成を可能にしました。」シュミット氏は、両社の協力関係を強調し、次のように付け加えます:「SICKは、このプロジェクトにおいて、データ収集、データ評価、データの妥当性チェック、およびデータ検証を進める上での、まさに最適なパートナーでした。」
SICK AG社のマグヌス・アルベルト氏(Senior Experte Safety Methods)は、このプロジェクトを次のように要約します:「大量のフィールドデータを自動評価することで初めて、都市環境におけるシステムの信頼性と可用性についての判断が可能になります。これが可能になったのは、シーメンスとの実際の交差点における共同作業を通じてでした。これにより、システムの信頼性が非常に優れていることを示すことができました。」
スマートシティを安全にする
スマートシティ構想の一環として、安全性、効率、持続可能性、ひいては住民の生活の質を向上させるために、新しいテクノロジーを活用し、デジタル化を推進する都市が増えています。そうすることで都市は競争力と持続可能性を維持することができます。
スマートシティへの取り組みは、建物、商品やデータの供給と廃棄、モビリティ、サービス、ヘルスケア、水やエネルギーの供給など、生活のさまざまな分野に影響します。モビリティは、スマートシティのほぼすべての領域に入り込んでおり、未来の都市を円滑な運営するために必要不可欠な分野となります。したがって、「スマートモビリティ」に向けたインフラ整備と輸送サービスの拡大が、重要な関心事となります。スマートモビリティは、いわゆる「ビジョン・ゼロ」、つまり交通事故による死亡者ゼロという理想的な目標にも決定的な貢献を果たすようになるとされます。それはとりわけ、都市部の交通事故犠牲者の多くが、歩行者や自転車利用者、いわゆるVRU(交通弱者)であるためです。
この目標を達成するには、地域公共交通において、高度に自動化された自律走行車を利用することが不可欠となります。こういった車両ではより安全な運行が可能で、事故を防ぎ、交通の流れを維持することができます。その一方、安全な運用には、インフラストラクチャ内に設置されたセンサからのデータを使用してのみ判断できる、特定の情報も必要となります。
これらの情報は、常に利用可能で、信頼性が高く、説得力を持つ必要があります。まさにここで、前述のSICKの専門知識が根本的な貢献を果たし、そのようなソリューションの実現が可能になります。シーメンスと協力することで、SICKはスマートモビリティの実現に大きく近づきました。スマートシティがより安全で持続可能な交通を実現する日がもうすぐやってくることでしょう。
