バッテリー製造のための革新的なセンサソリューション：セル製造の内幕

電気自動車やエネルギー貯蔵システム用のバッテリーの製造プロセスでは、多くの工程でセンサが必要となります。これらのセンサは信号を発してプロセスを制御し、組立ステーションを保護し、統合された品質保証を実行します。SICKなら、プラントメーカーまたは運営者がすべてのセンサを1社から入手することができます。このことはプロセス、安全性、品質、さらにはバッテリー製造の生産性に明らかな利点をもたらします。

将来性ある市場としてのバッテリー製造

今後数年にわたり、すべての関連市場において、電気自動車の生産と販売が大幅に増加すると予想されています。

2030年には新車の約80%に電気駆動装置が搭載されると言われています。これは、年間約6,000万台分の自動車用バッテリー需要を意味します。これに対応するには、既存の工場に加えて、さらに多くの「ギガファクトリー」が必要となります。

2035年、EUでは内燃機関を搭載した車両の販売が完全に終了します。最大の自動車市場である中国では、すべての自動車が「新エネルギー」で駆動されるようになる予定です。これはつまり、2030年以降も必要なバッテリーの数が増え続けることを意味します。さらに、定置型蓄電システム用のバッテリーシステムは、エネルギー転換の枠組みの中で化石資源からの脱却を実現するための基盤となっています。この市場も大きく成長していくと予想されます。

The increasing demand for electric vehicles and energy storage systems is driving significant growth in the battery market.

複雑なプロセス

バッテリーの製造は非常に複雑です。電極からセル、モジュールを経て完全なバッテリーパックにいたるまでのプロセスには、数多くの個別ステップが必要であり、各ステップにおいて高い品質要件が確保されなければなりません。将来的にバッテリーが必要とされる量を考えると、高度な自動化が必須です。ギガファクトリーの生産量もそれに応じて高くなければなりません。特に経済的なプレッシャーが高い状況ではなおさらです。自動車業界の当社の顧客は、kWhあたりの「ターゲットプライス」が継続的に低下すると予想しています。

最高品質かつダウンタイムゼロ

これらの理由から、ギガファクトリーの運営者は、ダウンタイムなしで生産を継続することを余儀なくされています。不良品も即座に特定し、排除する必要があります。そのため、個々のプロセスステップに統合された品質管理が不可欠となります。さらに、バッテリー工場の所在地で適用される機械安全の基準や規格を考慮する必要があります。その際、安全技術が生産性を損なうようなことがあってはなりません。そこで、プロセスにぴったりと適合したインテリジェントな安全技術が実現できれば、安全な生産性を得ることができるでしょう。

目標は複雑さを減らすこと

機械メーカーやターンキープロバイダーの主な目標は、安定した生産プロセスを備えたプラントを顧客に提供することです。

実装の面において、これはプロセスを制御し、複雑さを軽減することを意味します。これはセンサについて言えば、高品質のセンサをシングルソースで調達することで解決できます。

The complex battery manufacturing process requires high automation and integrated quality controls to ensure uninterrupted production.

バッテリー生産における品質と生産性の向上にセンサが貢献

センサ技術の総合サプライヤー – セル製造の例

バッテリー製造の多くの作業では、さまざまなセンサ技術が利用できます。たとえばセル製造では、セルの主要部品 (電極フィルムとセパレータフィルム) が高速でロール状に加工されます。

以下では、SICKのセンサが担うタスクを、9つの応用例で簡単に紹介します。

バッテリーセル製造におけるセンサソリューションの9つの応用例

応用例1: 高速で動作するラップユニットのアクセス制御には、セーフティコントローラFlexi Compactを備えたセーフティライトカーテンdeTec4が最適です。物流スタッフや無人搬送システムが新しいフィルムロールを供給するための搬入口には、安全対策が必要となります。

応用例2: 多くの密閉型機械は防護ドアを通してアクセス可能となっています。セーフティロッキングデバイスflexLockは、Flexi Compact Safety Controllerとの組み合わされることで、これらの防護ドアを監視します。

応用例3: カレンダリングの後など、複数のステーションで電極コーティングの厚さを測定するには、数マイクロメートルの測定精度と高い測定周波数 (最大80 kHz) が必要です。これにはショートレンジ距離センサ (変位) OD5000が使用されます。

応用例4: 2DビジョンセンサInspectorP61xは、電極導体のプロセス統合型の品質管理においてその優れた性能を発揮します。高精度な検出、統合照明、そして最小の設置スペースで、正確な距離測定を実現します。カメラに直接組み込まれたDeep Learningツールの拡張機能により、品質管理のための広範な画像処理タスクを実行します。

SICK's sensor solutions ensure efficient and safe battery cell production through access controls and quality checks.

応用例5:ショートレンジ距離センサ (変位) OD2000 は、ロールが巻き出されるときにその高さを測定し、ロール交換 (残量フィルムのチェック) の信号を出します。測定範囲は最大1.20 m、繰り返し精度は最大0.1 µmです。

応用例6: 高速で走行するフィルムの破れや穴を検出する機能は不可欠です。このタスクに使われるのがスキャニングタイプのオートメーションライトグリッドMLG-2で、このセンサが高品質のフィルムウェブのさらなる処理を確実にし、プロセスの中断を防ぎます。

応用例7: 電極フィルムおよびセパレーターフィルムのウェブエッジ制御には、Array-製品群AS30のアレイセンサが適してます。複数のフィルムのウェブエッジを同時に検出する必要がある場合は、MLG-2 WebCheckerが適しています。

The OD2000 measures roll height, the MLG-2 light grid detects cracks and holes, and AS30 and MLG-2 WebChecker control the web edges.

応用例8: フィルムの端にあるマーキングやコーティング不良を検出するため、スプライシングテープの検出には、たとえば大きな測定距離 (最大500 mm) を持つカラーセンサCSSや、揺れ動く材料でも最高のコントラスト検出を実現するTwinEye技術を搭載したコントラストセンサKTS Primeが使用されます。

応用例9: ロールツーロールプロセスで正確な位置または速度の測定が必要な場合は、レーザ表面モーションセンサSPEETEC 1Dが使用されます。非接触測定原理により、電極材料の敏感な表面が保護されます。

結論: 生産性・品質・機械の安全性を総合的に考える

セル製造向けのセンサソリューションは、生産性/

プラント制御 (たとえば、ウェブエッジ検出、残留フィルムのチェック)、

品質 (裂け目や穴の検出、電極間隔の測定)、機械の安全性 (アクセス制御、危険エリアの保護) などの分野をカバーしています。穴の検出、電極間隔の測定)、機械の安全性 (アクセス制御、危険エリアの保護) などの分野をカバーします。

センサの付加価値は、センサや機械のレベルに留まるものではありません。制御システム全体 (イーサネットやIO-Linkなどを介して)、さらには上位のMESやERPシステムに組み込まれることで、

バリューチェーン全体にわたる透明性とデータ可用性を向上させます。

さらに、SICKのトラックアンドトレースソリューションは、ネットワーク化されたプロセスチェーンにおいて、製品と材料をシームレスに検出、識別、追跡するためのデータと情報を生成します。このように構築されたトレーサビリティと相まって、センサと機械のデータは、品質と効率をデータに基づいて最適化するための前提条件になります。このように、SICKのセンサシステムは、将来の生産性の高いインテリジェントなバッテリー製造に欠かせない重要な要件を満たします。