最新のAGVR無人トラクタには、様々な分野の最良の技術が融合されています。ハイエンドAGVソリューションの中核を成すのは、世界的なブランドであるSpijkstaalの頑強なトラクタです。オランダ・バーレンドレヒトを拠点とするAGVRのエンジニアによって、このトラクタには必要なセンサ技術とソフトウェアがすべて搭載されているため、自動的に周囲の状況を把握して自分のルートを見つけることができます。SICKのセーフティレーザスキャナoutdoorScan3は、このトラクタの目として機能します。これは新規格IEC TS 62998-1に準拠して認証を受けた世界初の製品です。
屋外での無人トラクタの安全な走行を実現したAGVR
「SpijkstaalとAGVRは専属で協力し合っています。」営業部門のマネージングディレクターであるヴィム・ライエンダイク氏は説明を続けます。「Spijkstaalが自動トラクタの依頼を受けた場合、当社に相談があります。逆に私たちがそのような依頼を受けた場合は、Spijkstaalに連絡します。我々どちらにとっても品質が最も重要な要素であることに変わりはありません。優れた製品、つまり10年間稼働し続け、10年間メンテナンス可能であるという条件を満たす製品を提供しなければならないのです。」
「当初は、4トンから10トンの牽引能力を持つ三輪トラクタを標準ソリューションとして開発していました。そこにとある大手自動車メーカーから相談を持ちかけられたのです。このメーカーは、牽引能力20トンで、屋外の濡れた傾斜路でも走行できるトラクタを求めていました。競合他社は牽引能力25トンのトラクタを提案しましたが、このようなトラクタが下り坂を走行した場合、これを止めることは事実上不可能です。そこで、私たちはSpijkstaalと協力して、牽引能力40トンのトラクタを提案しました。」
SICKは約束を守ります: 屋外用セーフティレーザスキャナ
ヴィㇺ・ライエンダイク氏は、40トンのトラクタという更なる課題と直面します。どうすれば屋外環境での安全を確保できるのか?「当初、屋外向けに認証を取得したセーフティレーザスキャナはありませんでした。それまでは、安全バンパーや超音波センサで問題を回避していましたが、このソリューションはまったく理想的とは言えませんでした。お客様は未だに『なぜテスラは自動運転できるのか』と疑問に思っています。SICKの担当者が当社を訪れたときに、SICKが屋外向けのセーフティレーザスキャナにも取り組んでいると聞いたので、私たちはすぐに関心があることを伝えました。そして、SICKは約束を果たしてくれたのです。この屋外用スキャナは見事に機能しています。」
ライエンダイク氏のチームは、ナビゲーションに関してもひとつの課題に直面していました。「これまでは、RFタグを地面に埋め込んで使用していました。トラクタの下部に取り付けた読み取りユニットからのデータを活用して、正確なルートを特定していました。しかし、屋内では鋼鉄製の床が障害となった上、お客様はRFタグを地面に埋め込むことに乗り気ではありませんでした。そこで、SICKの2D LiDARセンサNAV3xxを採用し、ありがたいことに問題を解決できたのです。このセンサは屋外でも優れた性能を発揮します。」
地上高および制動力
高性能スキャン技術に加え、AGVRの最新トラクタはさらに多くの特長を備えています。「このトラクタは、アスファルト、砂利、木材、コンクリート、鋼板など、殆どすべての地面に対応できます。さらに、優れたサスペンションを搭載しており、十分な地上高が確保されているため、地面が平坦でなくても問題なく走行でき、トラクションも保証されています。」ライエンダイク氏はトラクタの特長をこのように要約しています。
AGVRのソリューションでは、ブレーキのないトレーラーを使用しています。つまりトラクタがすべての制動力を供給する必要があります。ライエンダイク氏は続けます。「私たちは意図的にエンジンブレーキのみを活用するという決定を下しました。エンジンブレーキなら高精度で調整できるからです。機械的なブレーキだと、最初の1か月間は完璧に機能することが多いのですが、その後問題が発生します。そうなると、それを再び修正する方法を考えなければなりません。AGVRでは、4台の無人トラクタ向けにインテリジェントなフリート管理ソフトウェアも提供しています。このソフトウェアは、どの車両が次の物流作業を担当するかを決定します。」
AGVRの無人トラクタも「ハイブリッド」です。営業部門のマネージングディレクターであるライエンダイク氏は、「必要に応じて手動で操作することもでき、すべてスイッチ1つで切り替えられます。さらにトラクタには本格的なキャビンが装備されており、運転手にとって快適な環境となっています。また、公道用の照明も搭載されているため、公道を走行することも可能です。」と述べています。
10年間安全を保証
ライエンダイク氏とSICKは、長年にわたって協力関係にあります。「私たちの考え方は同じです。SICKはプロフェッショナルな機器と素晴らしいサポートを提供してくれます。また、私たちは何かを作る場合、その製品が最低でも10年間お客様の現場で機能し続けなければならないということを最も重視しています。そのため、対応するスペアパーツも10年間提供し続けなければなりません。SICKの協力で、私たちはこれを実現できているのです。」
「同僚の中には、オンラインで購入したいという人もいます。しかし、私が彼らに、より安価なサプライヤが同じパーツを10年間も供給できるのかと尋ねると、やはりSICKしかないという答えに行き着くのです。SICKのこの屋外用新型セーフティレーザスキャナを見たとき、これだと確信しました。私たちは長い間、このようなソリューションを待ち望んでいたのです。SICKがこのような製品を一早く開発したと聞いても、私はまったく驚きませんでした。」
将来的には最大60%のコスト削減
今後の計画について質問すると、ライエンダイク氏は、近い将来特に新型の無人トラクタが市場に投入される予定であると明かしてくれました。「これは見た目も素晴らしく熟考された製品です。私は非常に多くの工場を訪れましたが、その時、物流が今でも屋外で行われているケースがどれほど多いかに気付きました。もしこれらのフォークリフトをすべて当社の新型トラクタに置き換えれば、最大で60%のコスト削減が可能です。これが当社の成功物語のシナリオとなる予定です。」
牽引能力40トンの無人トラクタには、SICKのソリューションが搭載されています。
outdoorScan3: 2台のセーフティレーザスキャナ (それぞれ視野角270度) がトラクタの進行方向を監視します。
NAV3xx: この2D LiDARセンサはナビゲーションで使用されます。
TiM: セーフティレーザスキャナの視野上部に設置された2D LiDARセンサが、フォークリフトのフォークや天井クレーンなどの高い物体との衝突を防止します。また、2台のTiM 2D LiDARセンサは側面を監視し、人がトラクターに近づくとトラクターを停止させて安全を確保します。
超音波: 後部の超音波センサは、トレーラーが接続されているかどうかを監視します。トレーラーが外れた場合は、即座に対応することができます。
Flexi Soft: すべてのスキャナからの安全信号は、セーフティコントローラFlexi Softによって処理されます。Flexi Soft Safe Motion Controller FX3-MOCは、スキャナ内で速度に応じたフィールド切り替えに必要な速度を安全に監視します。
