生産現場の安全技術:レーダ、2D LiDAR、3Dタイムオブフライトに関するすべて

2024/05/13

産業オートメーションでは、従業員、製品、プラントの安全が最優先されます。この目的のために、さまざまな安全技術が開発されてきました。

レーダ、2D LiDAR3Dタイムオブフライト(ToF)の3つは、業界で広く使用されている技術です。それぞれの技術に長所と短所があります。それらの違いを理解して、確かな情報に基づいてどの技術を使用するかを決定することが重要です。

Various safety technologies have been developed for the safety of industrial automation.
Various safety technologies have been developed for the safety of industrial automation.

レーダとは?

レーダは電磁波をベースとするセンサ技術で、物体の検出に電波を利用します。安全用途では、レーダを使用して人や物の存在を検出し、機械の危険な動作を止めたり、予期せぬ再起動を防いだりすることができます。

レーダが製造産業で初めて使用されたのは1930年代です。当初は第二次世界大戦中に航空機を探知するために開発されました。その後、民間用途向けに改良され、それ以来、製造業でさまざまな用途に広く使用されています。安全アプリケーションのためのレーダソリューションは、パフォーマンスレベルdで利用でき、通常は人や物を検出して危険な動作を止めたり、不要な再起動を防ぐために使用されます。

Radar is based on electromagnetic waves and uses radio waves to detect objects.
Radar is based on electromagnetic waves and uses radio waves to detect objects.

レーダの主な機能

1. 物体の妨害による機能不全なし:レーダは粉塵・木屑・火花・プラスチック粒子が舞う環境でも効果的に機能します。

2. 過酷な環境でも高い性能を発揮:SICKの安全アプリケーション用レーダであるsafeRS3は、保護クラスIP67であり、-30 °Cから+60 °Cまで動作可能です。また汚染に対する耐性も高くなっています。

3. 防護フィールドsafeRS3といったSICKのソリューションではフィールドサイズの設定が可能で、防護フィールドを最大4つまで同時に監視できます。これらすべてがパフォーマンスレベルdで実現されます。

 

2D LiDARとは?

2D-LiDAR is based on lasers and uses light to detect objects.

 

 

2D LiDAR(Light Detection and Ranging/光の検出と測距)は、光を使って物体を検出するレーザベースのセンサ技術です。この技術は広いエリアや複雑な輪郭をカバーする必要があるセキュリティ用途でよく使用されます。

この技術ではレーザを使用して2次元平面上の物体を検出し、周囲の詳細な情報を取得します。これらのセンサは、人や物の検出、距離の測定、移動する物体の識別などに使用できます。またあるいは自動化された生産工程における障害物の検出や衝突の回避のための使用も可能です。

2D LiDARは2000年代初頭、初めて生産現場に導入されました。当初はおもに自動車の衝突回避システムに使用されていました。現在、2D LiDARは安全パフォーマンスレベルdおよびパフォーマンスレベルbの認定を受けており、ロボット、物流、生産施設全般を含む、幅広い生産現場で使用されています。近年、この技術はコストが低下し精度が向上していることから、ますます普及しています。

さらに2D LiDARは環境の変化の監視および検出に使用することもでき、これにより生産工程における安全性と効率が向上します。2D LiDARは定置型と移動型の両方のアプリケーションに適しており、典型的な定置型アプリケーションには、水平方向のエリアモニタリングや垂直方向のアクセス防護などがあります。移動型アプリケーションでは、移動ロボットまたは無人輸送車のフィールド保護を同時に行うことが必要であり、それにより物や人がどのフィールドに入るかに応じて、徐々にスピードを落としたり停止したりできるようになります。

2D LiDARの主な機能

1. 障害物検知:2D LiDARシステムは、空間内で障害物や人を検出します。これは製造や物流での安全用途に不可欠です。

2. 高分解能のスキャン:2D LiDARシステムの高分解能スキャン機能により、高精度の測定データを使用した位置特定とナビゲーションが可能になります。

3. 短い応答時間:2D LiDARシステムは物体を迅速かつ正確に検出できるため、安全性が重要なアプリケーションで応答時間を短縮することができます。

4. 安全な防護フィールド:2D LiDARシステムを使えば、生産環境のパフォーマンスレベルdまたはパフォーマンスレベルbに準拠して防護フィールドを監視することができ、人や機械の安全な動作を可能にします。

5. リアルタイムの監視:2D LiDARシステムは、安全管理、測量、監視に使用できるリアルタイムのフィードバックとデータを提供します。

The safeVisionary2 is a 3D time-of-flight camera with performance level c.
The safeVisionary2 is a 3D time-of-flight camera with performance level c.

3Dタイムオブフライトとは?

3D time-of-flight measures the time it requires for a light pulse to be reflected by objects in the environment.

3Dタイムオブフライト(ToF、光飛行時間)は光学原理に基づくセンサ技術で、光を使用して物体を検出します。この技術では、光パルスが送られ、そのパルスが周囲の物体によって反射されるまでの時間が測定されます。

3D ToFは、環境に関する詳細な情報を必要とする安全用途でよく使用されます。光パルスを使用して、3D ToFは監視エリアの正確な3Dマップを作成することができます。このマップは、物体を検出してそれら動いているかどうかを判断するために使用できます。

3Dタイムオブフライトの技術が生産現場で初めて使用されたのは2000年代初頭です。元々は3Dでの画像キャプチャやスキャンに使われていましたが、その後、その用途はさまざまに拡大されています。2023年から、この技術はパフォーマンスレベルcで利用できるようになりました。これにより、移動ロボットの衝突防止、協働ロボットの3D保護、コンベアシステムでの物体検出など、安全関連のアプリケーションが可能になりました。

For example, Level C's 3D time-of-flight technology enables collision protection for mobile robots.
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