ロボットによるデパレタイジングが人工知能を利用して実現
現在産業オートメーションでは、革命が公の目にほとんど触れることなく起きており、現実世界と仮想空間がリンクされています。SICKでは多数のセンサソリューションを提供して、この革命の行き先を既に定めていますが、その一例が、2年前から提供しているPALLOCです。AIベースのこのロボットガイダンスシステムは、現在はデパレタイジングに使用されていますが、将来的にはパレタイジングにも使用される予定です。
現在産業オートメーションでは、革命が公の目にほとんど触れることなく起きており、現実世界と仮想空間がリンクされています。SICKでは多数のセンサソリューションを提供して、この革命の行き先を既に定めていますが、その一例が、2年前から提供しているPALLOCです。AIベースのこのロボットガイダンスシステムは、現在はデパレタイジングに使用されていますが、将来的にはパレタイジングにも使用される予定です。
PALLOC (PALlet content LOCalisation) は、その名前から連想できるように、現代の経済循環の大きな課題の一つを解決するSICKのインテリジェントなソリューションです。その課題とは、何百万枚もの満載されたパレットを、目的地で出来る限り24時間操業で素早くミスなしで荷降ろしすることにあります。それに加えて、専門人材不足という言葉が表現しているように、適切な人材が不足する傾向も強まっています。また、ロボットに関して見ると、これまではAIの組み込みが欠けているケースが目立っています。従って、求められているのは、AIを利用して高度に調整可能な将来性の高いオートメーションソリューションであると言えます。
各企業の実際の工場作業現場にプラグアンドプレイで組み込めるPALLOCは、この隙間を埋めるソリューションです。なお、現在ではそれとは別に、仮想空間と現実世界の境界で産業用メタバースが誕生しており、オートメーションで全く新しい可能性が切り拓かれています。初期段階で、その恩恵を間違いなく極めて大きく受けている分野の一つがロボット工学であり、そこでは調整可能なAIソリューションに対する需要が非常に高まっています。
これに関して、SICKはPALLOCを例にとって、既に今日の時点で仮想空間の利用によって生み出される可能性も示すことができていますが、その目的は、まずはこれとその他のロボットソリューションをユーザアプリケーションでバーチャルで表現して拡張することに、そして将来的には相応のアプリケーションをバーチャルで前もって使用開始できるようにすることにもあります。SICKのロボット工学グローバルインダストリーマネージャーのドミニク・ビルケンマイヤーと、仮想化責任者のヤン・ヤーヴィスは、それぞれの同僚ならびにチームメンバーと共に、携わっている製品開発担当者と密接に協力しながら、両方の世界で先駆的な業務を行っています。
PALLOCでは既に実際の姿として、SICKの3DスナップショットカメラVisionary-Sと、プリインストール・トレーニングされたニューラルネットワークが理想的に組み合わされており、その結果として生み出された比類のないコンパクトなロボットガイダンスセットは、エンドオブアームソリューションとして秒単位で動作します。このシステムをロボットアームに、または定置式にパレットの上方に取り付けることで、パレットの最上位の積載層にある段ボール箱が、原則的にはその種類に関して制限なしで、瞬時に検出されます。
輪郭が識別され、位置座標と高さに関するデータがロボットコントローラに転送され、ロボットが箱を掴んで別の位置に移動します。「種類に関して制限なし」であるのは、既に工場出荷時にトレーニングされ、多種多様な段ボール箱が学習済みのニューラルネットワークには、使いやすいAIツールスイートを利用して、その他の段ボール箱バリエーションを何種類も好きなだけ追加することができるためです。従って、コンピューティングユニットが内蔵され、産業用PCを別途必要としないPALLOCは、それが属する分野で最も将来性の高い位置特定・ロボットガイダンスシステムの一つであると言えるでしょう。
この優位性を確保し、更に拡大する過程で、メタバースが登場することになります。その3D仮想空間は、AIの開発、テストとトレーニングに最適に設計されています。仮想空間でのシミュレーションが可能になったことで、具体的なアプリケーションを現実世界での使用前に予め検証することが可能になっています。SICKでは、今後もお客様に革新的なソリューションを提供できるようにするために、AIコンピューティングにかけて世界有数のプロバイダであるNVIDIAと協力し、NVIDIA Omniverseに構築されているIsaac-Simプラットフォームなどの同社のシミュレーション技術を利用しています。
これは、Deep Learningが統合されているPALLOCの場合は、ソリューションの機能を既に今日の時点でシミュレーションとしてアプリケーションに似た環境で表現し、場合によっては検証することも可能であることを意味しています。将来的には、実際に使用する前にそれに基づいて画像や例をトレーニングして、評価方法を生み出すことも可能になります。「つまりメタバースは、PALLOCのようなセンサを新しいユーザアプリケーションに組み込むための最もスピーディで持続可能な方法なのです」とビルケンマイヤーは説明しています。
ですが、可能性はこれだけにとどまらず、お客様は見本市などで、SICKのソリューションを導入した後の工場環境を魅力的な画像で見ることができます。また、具体的な関心がある場合は、この方法を用いて倉庫の具体的なシミュレーションで、特定のロボットモデルがPALLOCを利用しながら作業を正しく行うことができるかを、現実世界で行われる前に点検することも可能です。パラメータ調整が必要な場合は、簡単にすぐに行うことができるため、後でデパレタイジングが希望通りにスムーズに進行するようになります。メタバースでの作業では、仮想空間で簡単に試すことができるため、現実世界での特定のステップや計り知れないことが省かれることをヤーヴィスは重視しており、「現実世界で、すぐに正しい道を進むことが可能で、回り道を通ると膨大な時間とコストが掛かることが分かっている場合に、わざわざ回り道を選ぶ人はいないでしょう」と述べています。
ちなみに、このプロジェクトはまだゴールには達していません。デパレタイジングに続く目標はパレタイジングであり、それに向けて現在研究室で仮想化によってPALLOCをレベルアップする作業が進んでいます。なお、サイズや重量が異なる段ボール箱を一緒に積むミックスパレタイジングは次元が異なる作業であり、精度と速度に対する要件が大幅に高くなりますが、ビルケンマイヤーはSICKはそれに向けて順調に進んでいると考えています。「モニタの画像は、実際の箱でテトリスをしているように見えるかもしれませんが、PALLOCの効果もあり、お客様に非常に大きな付加価値がもたらされるのです。」