ヴァルトキルヒ、2024年6月 - SICKはInspector83x 2Dビジョンセンサを発売し、要求の厳しい高速生産における一般的なインライン検査タスク向けにすぐに使えるAIマシンビジョン検査を実現しました。
SICK Inspector83xの手間のかからないティーチイン機能は専門家でなくても使用可能であり、最大の生産速度でパワフルかつ高精度のAI検査を構成することができます。少数のサンプルをカメラに学習させるだけで、ほんの数分間で初期検査のリファレンスを取得し運用を開始できます。製品の仕様変更や段取り替えがあっても、生産ラインのオペレータが同じ方法で迅速に対応することができます。
高速生産で発揮されるシンプルさとパワフルさ
最高で5MPの分解能と強力な内蔵照明を搭載したSICK Inspector83xは印象的なオールインワンの製品です。パワフルなクアッドコアCPUと産業用ネットワーク経由の高速データ伝送を採用することでInspector83xはAI検査をデバイス上で直接処理し、従来の製品と比較して大幅な高速化を実現しました。その高精度かつ高速な応答と外部の追加制御が不要であるという点が、要求の厳しいFMCG(Fast Moving Consumer Goods)生産アプリケーションにおいて特に役立つと期待されています。通常、欠陥や異常の検出または仕分けといったマシンビジョンのタスクでは、最大で毎秒15件の検査を確実に実行することができます。
SICK Inspector83xの使用で、これまで以上に簡単かつ確実にマシンビジョン検査を実行しながら、消費財の製造、食品および飲料、自動車、包装などの用途で信頼性の高い結果を得られるようになります。SICK Inspector83xはOCR/OCVの読み取りや検証だけでなく、予測不可能な不良品の検出や複雑なアセンブリの検証も含め、中程度から大規模なFOV(視野)で複雑な検査も簡単に実行できます。2024年中の製品展開には、色彩要素を検査できるカラー画像処理(カラーによる仕分け、欠陥検出、ならびに品質検査)が含まれます。。
専門家でなくても利用できるAIマシンビジョン
Inspector83xにはSICK Nova(基盤ソフトウェア)がプリインストールされているため、すぐにお使いいただけます。 検査の定義にあたりマシンビジョンの専門知識も、長時間の設定作業も不要です。カメラのUSB-Cポートまたはネットワークインタフェース経由で接続したPCを使用し、直感的なインタフェースに従って実際の生産条件においてカメラにサンプル学習と検査を実行します。必要とされるサンプルは5件程度です。AI機能とシンプルな測定値の追加といった従来の評価ルールベースのツールと組み合わせることにより、最も実用的な方法で検査を実現することができます。
SICK Inspector 83xは製品仕様や包装の変更が必要な場合でも、従来のマシンビジョンにつきものであった複雑な作業が不要となります。アルゴリズムや複雑な評価ルールベースの検査の定義をマシンビジョンの専門家や外部のコンサルタントに依頼する必要がなく、経験の浅いオペレータでも新しい製品の良品サンプルを簡単に追加でき、カメラが自動的に学習してくれます。
さらに多くのサンプルや大規模なデータセットがある複雑な検査では、SICK dStudioクラウドサービスを利用して独自のニューラルネットワークをトレーニングし、結果を小さなファイルとしてエクスポートしてInspector83x上で実行するというオプションもあります。熟練したユーザはSICK NovaによるLuaプログラミングとHALCONを使用し、カスタム開発をさらに拡張することもできます。SICKクラウドベースのdStudioサービスはユーザにとってシンプルでありながら、他のスタッフとの共同作業やデータ管理という独自のメリットも提供します。
さまざまな産業用ネットワークによる高速データ伝送
セットアップ後はAI画像検査がSICK Inspector83x上で直接実行され、合否結果またはデータ値として出力されます。EtherNet/IP™またはPROFINET統合用のデュアルポートを搭載、産業用ネットワークでの高速データ伝送に最適化されています。 専用の高速ギガビットEthernetポートは高分解能画像データ伝送のほか、データロギングやTCP/IP統合にも対応できます。エクスポート機能を内蔵し、ボタンを押すだけで一般的なPLC機種にカスタマイズされたコンフィグレーションを出力できます。
SICK Inspector83xには7つの入力と5つの出力が搭載されています。タイマーおよびキュー機能により、時間ベース、あるいは接続された制御機器(エンコーダなど)のトリガ信号で画像出力が高精度で校正されます。
SICK Inspector83xはスタンドアロンのデバイスとして十分機能しますが、設置に必要なアクセサリも幅広くご利用いただけます。照明の専用ポートはバックライトやバーライトなどの外部光源に接続できます。2024年内に近赤外線(NIR)の機種も提供される予定です。標準規格のCマウントでSICKの各種光学製品を取り付けることができるほか、サードパーティ製の特殊なレンズを取り付けて複雑な検査に対応することもできます。
SICK社は産業用センサ・アプリケーションの世界有数のソリューション・プロバイダーです。1946年にDr.-Ing. e. h. Erwin Sickによって設立され、フライブルク近郊のヴァルトキルヒ・イン・ブライスガウに本社を置く当社は、技術および市場のリーダーの1つであり、50以上の子会社や持ち株会社、多数の代理店を擁し、世界中に展開しています。従業員数は全世界で約12,000人、2022年度の連結売上高は約22億ユーロでした。SICKに関する詳細情報は、インターネット(www.sick.com)でご覧いただけます。