QRコード付きのパレット

2026/03/02

生産からリサイクルまで、ユーロパレットをデジタルでシームレスに管理

世界では約6億7500万個のEPALユーロパレットが使用されています。EPAL社は、約2年前、自社の標準パレットにデジタル化のアップグレードを施し、ライセンス契約を結んでいる企業、ひいては多くの企業に対して物流のデジタル化への道を拓きました。それ以来、EPAL社のパレット・プール・システム向けに生産された400万個以上のパレットに2次元QRコードが印字されています。コードはパレットの長辺の右角のブロックに付けられており、これによってパレットが一意に識別されます。QRコードの導入により、物流チェーンの透明性の向上など、さまざまな利点がもたらされます。 

Wooden EPAL pallets with a QR‑coded block are stacked in a storage area.
Wooden EPAL pallets with a QR‑coded block are stacked in a storage area.

 

Pallet Serialization System (PASS)は、印刷工程後、Lector62x製品シリーズの画像ベースのコードリーダ2台を使用して、インクジェット印刷されたQRコードが品質基準を満たしているかどうかチェックします。チェックを通過すると、PASSがそのパレットをEPAL社のクラウドに登録します。これによりデジタルツインが作成され、パレットのライフサイクル全体を通しての追跡が可能になります。まれに品質検査で不合格となった場合、そのパレットは回収され、再加工されます。 

A pallet is scanned on an automated conveyor.
A pallet is scanned on an automated conveyor.
品質管理システム
パレット製造工程における自動シリアライゼーション
Pallet Serialization System

 

アイデアから試作品へ

しかし、最初の新型パレットが生産されるまで、EPAL社ならびにSICKなどのパートナー企業は、いくつかの課題を克服しなければなりませんでした。EPAL社は、フラウンホーファーIML (マテリアルフロー・ロジスティクス研究所) の協力のもと、QRコードの採用を決定します。固定設置されたセンサやRFIDタグなど、他の技術的解決策も検討されましたが、どれも3つの評価基準 (コスト、効果、実現可能性) のいずれかを満たすことができませんでした。製造またはリサイクルの工程で、手間がかかりすぎたり、費用がかかりすぎたりしたのです。 

SICK社とのつながりは、IMLのエンタープライズ・ラボを通じて生まれました。EPALがSICKに白羽の矢をたてた理由は、同社の画像ベースのコードリーダの性能が特に優れており、厳しい環境条件下でも非常に高い読み取り率を実現していること、そしてホストコンピュータ向けの統合ソフトウェアおよびシステム構築を一括して提供する体制を持っていることでした。 

IML、プリンタ製造会社、EPALのエキスパートたちと連携をとりながら、SICKのアプリケーション専門家とソフトウェアエンジニアは、数ヶ月かけてパレットシリアル化システムのプロトタイプを開発しました。しかし問題は細部に潜んでいました。パイロット導入の際、パートナー各社は、木製ブロックにQRコードを印刷することが最大の技術的課題であると発見したのです。そこでSICKはこの課題を克服すべく、プリンタ製造会社にセンサデータを提供します。それによりプリンタを最適化することで、99%以上の読み取り率が達成されました。このプロジェクトの成功には、ポーランドとドイツのSICKサービス技術者も大きく貢献しています。Lector62xセンサの設置および試運転における豊富な実務経験を生かし、時に過酷な環境条件下にも、最適に設定することができました。 

A pallet block with a QR code is being examined during a workshop activity.
A pallet block with a QR code is being examined during a workshop activity.

 

未来を制するQRパレット

現在、QRコードはユーロパレットの仕様情報をデジタルで提供するために使用されています。情報には、たとえば製造元や製造日が含まれます。将来的には木材の原産地など、さらなる特性を追加することも可能です。現時点でもQRコードを使って業界特有のメリットが得ることができ、たとえば、建材業者は、このコードを使って倉庫から建設現場までの配送状況を追跡することができます。他の企業では、QRコードを活用することで在庫の全体を常時把握することに成功しています。

PASSという量産可能なシステムを市場に送り出したことを受け、EPAL社は、このタイプのパレットの販売量を着実に増やしていきたいと考えています。パレットが、その使命を終えてリサイクルに回されるまで平均7年間かかるため、中期的にはQRコードのないパレットもしばらく存在し続けるでしょう。しかし、QRコード付きユーロパレットの普及に向けた第一歩はすでに踏み出されました。現在、約100のメーカーで、このための印刷設備が生産ラインに導入済みとなっています。SICKであれば、その概念実証 (Proof of Concept) およびパイロット導入における経験を活かし、PASSをあらゆる一般的な生産インフラに最小限の労力で統合することができます。 

A pallet block with a QR code rests on a stacked wooden EPAL pallet.
A pallet block with a QR code rests on a stacked wooden EPAL pallet.
Michael Brandt
Michael Brandt

 

EPAL社は、QRユーロパレットの流通量が、早くて2026年には2倍以上になると予測しています。そして、これはまだ始まりに過ぎません。今後、EPAL社は、新たに製造されるすべてのパレットにこのようなQRコードを付けることを目指しています。その対象には、ユーロパレット以外にも、化学業界で使用されているEPAL CPパレットのような他の種類のパレットも含まれています。「2026年末に施行されるEUの包装規則 (PPWR) やデジタル製品パスポートといった規制要件の他にも、当社のパレットに付けられたQRコードを使って顧客にさまざまなデジタルサービスを提供することができることになります。私たちは、ここに大きな可能性を見出しています。」こう語るのは、欧州パレット協会 (EPAL) のロジスティクス&イノベーション責任者Michael Brandt氏です。そこにSICKのIdent Gate System (IGS) を使用すれば、この新型パレットの使用を希望するすべての顧客に、インテリジェントで高性能、かつモジュール式でカスタマイズ可能な、追跡・管理ソリューションを提供することができます。

 

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