優れたカッティング - SICK AppSpace搭載のSicoCam

2017/12/11

未加工ボードの複雑な手動測定は、すでに過去のことです。今日では、Siempelkamp Logistics & Service GmbHのインライン・パネル測定システムSicoCamが、ウッドパネルを連続的な流れで測定します。このシステムには、SICKのプログラミング可能な4台の高性能カメラInspectorP65xSICK AppSpaceが搭載されています。これらのカメラはパネルの寸法を計算し、鋸を調整するための測定値を提供します。その結果、生産されたパネルの品質が向上し、不良品が減少すると同時に生産性が高まります。さらに、作業現場での安全性も向上します。

 

木材産業でのパーティクルボード

 

ザンクトぺルテンのウンターラートルベルクに所在するパーティクルボード工場Fritz Egger GmbH & Co. OGでは、毎年約300万立方メートルの木材が、約4000万平方メートルのコーティングされたパーティクルボードに加工されています。並べてみると地球外周の半分になります。パーティクルボードは、産業および専門業者に供給されます。オーストリアの有名な家具メーカーはすべて顧客に含まれています。未加工ボードの生産では、ボードストランドがプレスされ、その後マルチダイアゴナルソーで製品サイズにカットされた後、必要に応じて寸法の誤差を修正するために、個々のボードを定期的に測定します。これまでこの工程では、生産からいわゆる良品ボードを手動で排出するか、プラント内のスタークーラーなどでのボード測定が行われていました。

 

安全技術ソリューションの必要に応じて自動化を促進 

長い間、プラントエンジニアおよび設置業者のSiempelkamp社とEgger社は、これまでのアプローチに内在する重大な安全上の欠点を解消するために、技術的な解決策を見つけたいと考えていました。「これまでマルチダイアゴナルソー背後のボードを測定する技術的ソリューションは、最新技術に対応するものではありませんでした」と、Siempelkamp Logistics & Service GmbHのプロジェクトマネージャー、フランク・オットー博士は説明します。「さらに、当社の高性能システムに搭載されているマルチダイアゴナルソーは、タンデム、トリプル、クワトロモード、つまり2台以上のソーユニットを使用して切断することが増えています。寸法のずれが見つかった場合に、切断値を手動で修正する必要がある手動ボード測定プロセスはお客様にとって複雑で時間がかかりすぎる上、安全面でも問題があります。」

今までは排出されたボードを巻き尺を使って手作業で点検し、排除していましたが、測定値に誤差がある場合、オペレータは必要な補正値をソーに入力して確定しなければなりませんでした。この時点で、すでに寸法が合わない多数のボードがシステムに運ばれてきます。ソーが装備変更されると、オペレータはまた一枚のボードを取り外して測定し、望ましい結果が得られたかどうかを判断しなければなりませんでした。ボードがまだ希望の仕様を満たしていなければ、オペレータはまたソーを再設定しなければなりません。このプロセスには、15分から30分ほどかかります。

「今ではボード測定システムが機械内に設置されているため、寸法の誤差が生じた場合はすぐにソーを修正することができます。」Fritz Egger GmbH & Co. OGの技術マネージャーであるマーティン・ヒンターホーファーこのように説明します。「さらに、この新しいシステムでは、プロセスの変更にも迅速に対応し、プロセスを安定させて完成品の品質を確保することができます。」 

 

ボード形状の測定面 

パーティクルボードの製造では、成形・プレスラインは、プラント全体の中で最もプロセスに影響を与えるシステムユニットです。プラントの中核的な存在として、製品の生産能力と品質を左右する大きな役割を担っています。そのため、下流の機械の出力を成形・プレスラインに合わせて連動させることで、ボトルネックを回避する必要があります。例えばボード形状の測定を行うシステムは、できるだけ「インライン」でソーの後に配置するのが理想的です。SiempelkampのSicoCamインラインボード測定システムは、ボードの長さと幅を測定し、ボードの四隅の対角線と角度も計算します。これにより、トリミングやクロスカットが最適化され、無駄を最小限に抑えることができます。 

 

ボード測定を行うベルトコンベア

 

さらに一歩先を行くSiempelkamp 

無限のストランドから特定の長さに切断された個々のボードは、システム通過時に搬送ベルト上で測定されます。このベルトの上には、4台のプログラマブル2DカメラInspector65xがガントリに取り付けられており、これらのカメラは搬送方向の通過経路後方に位置する可動式スレッドに取り付けられています。カメラシステムはスレッドの助けを借りて、異なるボード長さに合わせて調整されます。設定精度は0.01ミリ単位です。小型光電センサW12-2 Laserは前面を検出し、画像取得を作動させ、カメラをトリガします。「ベルトコンベアやローラコンベアがあり、その上にSicoCamガントリを配置して、ボードが来るとそのまま測定します」と、フランク・オットー博士は設計を解説します。「既存のシステムへの機械的な接続はありません。完全に切り離されているので、既存の機械技術への改変や、機能変更、ボードの減速などの変更を加える必要はありません。」「システムをコンベアの上に配置するだけなので、通常の運転中にほんの短時間停止させるだけで作業を行うことができます」と、Fritz Egger GmbH & Co. OGの未加工パーティクル生産マネージャーであるマティアス・ケール氏は述べます。 

 

SICK AppSpace: カスタムアプリケーションを自由に開発可能

オプトエレクトロニクス、特に画像処理では、特定の機能や性能特性を実装する場合、設定可能な製品は多くの場合その限界に追い込まれます。エコシステムSICK AppSpaceにより、SICKはシステムインテグレータやオリジナル機器メーカー (OEM) に、プログラマブルカメラや光学センサをベースにした独自のアプリケーションやユーザインタフェース自由に開発する機会を提供します。ボード形状を測定する場合、ボードの搬送速度が最大毎秒4メートルになると高さ補正が必要になります。「ボードはプレス機から出るときに張力がかかり、下や上の方に少し膨らむことがあるため、これを考慮しなければなりません。この場合、各ボードのコーナーにレーザを配置し、それに応じてアプリをプログラミングすることで補正するしか他に方法はありません。」と、Siempelkamp Logistics & Service GmbHの支店長であるマルクス・グロップ氏はこのプロセスでの課題を説明しています。

 

ボード測定SicoCamのディスプレイ

 

「システム全体を構成するのは、単にエッジを検出するだけの4台のカメラだけではありません。これなら誰でもできるでしょう。」Siempelkampのフランク・オットー博士は補足します。「この背景には多くのノウハウが隠されているのです。」「システムの心臓部はソフトウェアです。ですが、ハードウェアも一定の条件を満たさなければなりません。すべてのカメラが、このタスクに必要な性能、感度、高速シャッタースピードを備えているわけではありません。現在では、毎秒4メートルの速度で移動するボードを測定できるようになりました。露光時間に関しては、マイクロ秒の範囲でなければなりませんが、このカメラは接続シャッター技術も優れており、高速でも非常にシャープな画像を得ることができます。」フランク・オットー博士はこのように力説しました。

Detlef Deuil 

Head of Product Management Vertical Integration Products (垂直統合製品の製品管理責任者)

デートレフ・デュイユは、SICKで垂直統合製品の製品管理責任者として、インダストリ4.0に関連する製品の市場投入を担当しています。その作業範囲には、カスタムアプリケーションをセンサで直接プログラミングできるようにするエコシステムSICK AppSpaceとSensor Integration Machine (SIM) が含まれています。これは、センサやカメラからのデータを統合および評価し、クラウドへの転送を可能にします。