開拓的スーパーパワーとしての75年

2021/11/10

ジック博士が今も生きていたならば、現在112歳で、今でも最先端の技術を駆使して世界に貢献しようとしていることでしょう。創立75周年を迎える今年、私たちの輝かしい歴史は今もなお、未来を形作る原動力となっています。

世界は絶えず変化しています。デジタル化、資源の有限性、仕事や働き方の変化、グローバルネットワークの拡大など、新時代への高揚感が広がっています。人々は新しい道を模索し、新発見により世界を変えようと試みます。

こういった人々の多くがSICKで働いており、共に世界を作ります。これは、1946年にジック博士が「自分の発明で世界を少しでも良くしよう」との考えから当社を設立して以来、私たちが主張してきたことです。

その創業者から、私たちは先見の明と勇気、そして豊かな発想力といった基本を学びました。現在、約10,500人の従業員が、革新と進歩、品質と信頼の世界的ネットワークを支えています。私たちは幾度も、持ち前の発明の精神と好奇心で新天地を目指します。

ジック博士は自らを「情熱的な発明者」と称し、「他から抜きん出た」「スマートなデバイス」を開発しようと努めました。1971年の講演でジック博士は、「私たちに必要なのはより多くの技術ではなく、より良く、より賢い技術である」と語っています。

革新力は、経済的な成功にとって不可欠なものです。またその革新は、「現状を改善し、将来の発展を見越したもの」でなければ、経済的に持続可能とはなりません。技術が技術のためにだけあってはなりません。私たちはセンサソリューションで世界を可能な限り改善し、世界を変えることに興味があります。

人のための技術進歩

ジック博士が会社を設立したのは、まだ第二次世界大戦の影響が色濃く残る時代でした。妻のギゼラ・ジックに支えられながら貫き通した彼の起業家としての原動力は、センサ技術で人と環境を守るという使命でした。ジック博士は光学技術による自動化に加え、とりわけ機械安全に注力します。初のライトカーテンで革新的なセンサソリューションを開発しただけでなく、安全基準や原則の策定にも関わります。1952年にハノーバーで開催された「第2回国際工作機械展示会」では、初の量産可能な事故防止用ライトカーテンを発表します。

また排出量の測定も初期の重要な課題でした。ルール工業地域を訪れそこでもくもくと煙を上げる煙突群を目にしたとき、ジック博士は、産業と技術の進歩には、環境への責任ある対応が不可欠であることを悟ります。

1988年12月3日、ジック博士が79歳で亡くなったとき、そのライフワークを引き継ぐことを即座に表明したのはギゼラ・ジック夫人でした。従業員に宛てた手紙の中で彼女は次のように述べています。「経営陣の実績ある確かなリーダーシップと、そして従業員の皆様の精力的な協力のもと、私たちは共にDr. Sick GmbH社を未来の成功へと導きます」このことは、今でもSICKファミリーが引き継いでいる大切な遺産です。

drawing of Dr. Erwin Sick
drawing of Dr. Erwin Sick

成長を続けるSICK:多くの国や専門分野でパイオニアとして活躍

私たちの成功はすべての力を結集したことにあります。国際的な事業展開の基礎となったのが、1972年にフランスに設立した最初の子会社でした。その3年後の1975年には、米国にも子会社を設立。創立60周年を迎えた2006年、全世界のSICKグループではすでに4,000人以上の従業員が働いていました。長年にわたりSICKは、2D/3Dカメラセンサや無線ベースのRFID技術といった技術革新により確実に成長を遂げてきました。また、グループに新たに加わったメンバーも、ポートフォリオの拡大に貢献しており、例えばSICK STEGMANN社は、エンコーダの専門知識をもたらしました。

2010年代に起こった第4次産業革命は、SICKに新しい多様なチャンスをもたらします。デジタル化は、データを提供するセンサがあって初めて可能になります。SICKチームは再び成長していきます。ソフトウェアの専門家が求められ、社内のスタートアップ部門は新しい思考の場を提供し、議論を促します。人工知能、深層学習、センサとクラウドの接続など、センサとシステムによりビジネスを補完する新しい道が拓かれました。

私たちはバーチャルな世界だけでなく、現実の世界でも新天地へと旅立ちます。outdoorScan3によって、工場の中からオープンな空の下へと飛び出します。世界初のセーフティレーザスキャナは無人搬送システムの安全なナビゲートを可能にし、また屋外用の新しいスキャン技術SafeHDDM®により天候に左右されることもありません。

しかし新世界はそれだけではなく、さらに大胆な飛躍を遂げます。TRUMPF社との提携により、私たちは超微細な塵を粒子を検出できる産業用量子センサを開発することに成功しました。

SICK production in Reute
SICK production in Reute

多様性こそスーパーパワー

ジック博士は、技術の多様性こそが最大の強みであると考え、一貫してそれを拡大してきました。私たちはこの原則を守り続け、今日に至ります。多様な市場、そして多様な応用分野に対応するため、当社は文化的にも多様な企業となっています。現在、当社のコミュニティには世界の50を超える子会社やパートナー企業の従業員が含まれ、3つの大陸で製品を製造しています。かつてジック博士が「80~100人の選りすぐりの社員がいる健全な中堅企業」にしたいと考えていたものが、今ではグローバルなグループ企業にまで発展しました。

私たちの持つ多様性は、私たちそれぞれの違いの総和です。私たちは、専門的、技術的、文化的かに関わらず、それぞれがそれぞれのやり方で自分の仕事に精通しています。しかし成功に大切なのは、この多様性をまとめ上げ、顧客やパートナー企業に共に理解してもらうことです。

私たちは75年前と同じようにセンサソリューションで世界を前進させます。これを可能にしているのは、全従業員の勇気、創造性、革新力です。私たちは皆、「開拓的スーパーパワー」の姿を隠し持っています。