コボットのクラウスとクララ: SICK Safetyによる協働ロボット

2018/04/06

Continentalは、世界をリードする自動車サプライヤーの1つです。自動車産業において、車両モデルのモデル品種やバリエーション種類および派生製品が短い製品寿命サイクルで増加するに伴い、サプライヤのダイナミクスも高まっていきます。強固に相互リンクされた生産ラインでは、個々のステーションでの変更や障害は、ライン全体の産出量に深刻な影響を及ぼします。障害が大きければ大きいほど、補償はより困難になります。

 

 

バーベンハウゼン工場では、自動車コックピット用のハイテクコンポーネントが24時間通して15秒ごとに生産されています。ダウンタイムを補うための余裕は殆どありません。このため、現在コンチネンタルでは融通が利かないテストラインおよび自動装着ラインを、柔軟で冗長設計の協働テストラインに置き換えています。そこではコボットのクラウスとクララが、自動テスターの必要な場所にパーツを装着します。必要が生じれば、従業員がこれらのコボットをアシストします。セーフティレーザスキャナS300セーフティスイッチTR4、およびソフトウェアでプログラミング可能なFlexi Softセーフティコントローラで構成されるSICKのセーフティソリューションが、共同動作におけるセキュリティを保証します。

 

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完全に再構築されたテストラインには、ロボット (コボット) を搭載した3つのテストベンチがあります。コボットはベルトからパーツを取り、自動テスター内に配置し、テスト済みのデバイスを再び取り出し、これを次のベルトの上に置きます。

 

安全性により人間とロボットによるコラボレーションを効率化

「クラウス (Claus = Cleverly Automated Universal Robot System) とクララ (Clara = Cleverly Automated Robot Application) は、据え付け型と移動型のどちらでも作業できるセミモバイル軽量ロボットです。」 Continental Automotive GmbHの産業工学/ロボット工学部門のハイコ・リービッシュ氏は、コボットのメリットについてこのように説明します。「このコンセプトにより、ロボットを持ち上げて他のシフトのために別の場所に移動させることが可能になります。その結果、2つの設備で同じロボットを使用して作業を行うことができるようになります。つまり、早朝シフトではあるプラントで使用し、夜間または深夜のシフトでは別のプラントで使用することが可能になります。」

機械的なインデックス作成を使用して、コボットをいつでもテストステーションに最適に再配置することができます。ここではトランスポンダセーフティスイッチTR4 Direct Unique Codeセンサが、クラウスとクララのTR4 Direct Unique Codeアクチュエータを照合します。

「システム全体のセキュリティに関するすべてのことは、ソフトウェアでプログラミング可能な安全制御装置Flexi Softによって制御されます。したがって、Flexi Softがコード化されたセーフティスイッチがあるかどうかを確認します。スイッチがなければ、何も起こりません。この制御装置によってエラーメッセージが通知されます。スイッチが照合されると、セーフティレーザスキャナ (S300 Advanced) が作業場所に合わせて保存されているフィールドセットを読み込み、ここで初めてコボットがプログラムを読み込んで起動できるように許可します」ハイコ・リービッシュ氏は起動までの段階をこのように説明します。「コード化された複数のスイッチを前面に取り付けることができます。これによってコボットを複数の作業ステーションに合わせてセットアップできます。」

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新しいラインでは、排除されたテストパーツをリターンパーツとして再び稼働中のプラントに戻すことができます。この場合、オペレータが動作中にテスト設備つまりコボットのところまで行って、テストパーツを空いている場所に置き、再びそこから離れます。するとコボットはそこに何かが置かれており、それを点検しなければならないことを自分で認識します。その後通常通り作業が続行されます。

全周囲監視を保証する斜めに取り付けられたセーフティレーザスキャナは、目立つ色のインジケータライトによって、正面に防護フィールドゾーンまたはその侵害を示します。オペレータが、ほぼ視覚内の隅でこれを認識できるように、関連する自動信号灯システムに応じてコボットアーム下の全ボディ部分が光ります。コラボレーションモードでは、クラウスが黄色く点灯し、減速されます。赤いモードでは完全に停止します。オペレータが赤い防護フィールドから再び離れると、システムつまりクラウスが自動的に起動します。オペレータが確定する必要はありません。

 

コボットの場合でも、まず最初にリスクアセスメントを実行

クラウスとクララは比較的ゆっくりと動作しますが、一般的にロボットアームはオペレータの生命を脅かすほど近づくことがあります。  「常にコンセプト全体を判定する必要があります。そこで、正面で使用するグリッパに尖った部分が生じないよう、丸みをつけるためにレーザー焼結を施しました。」

ヒューマン・ロボット・コラボレーションは、ひとつとして同じものはありません。したがって、使用するロボットが人間との相互作用を目的として特別に開発された場合でも、HRCアプリケーションのリスクアセスメントは個々に行わなければならないのです。このようなコボットは、基本的な設計の時点から、本質的に安全な構造にある多数の特徴をすでに有しています。同時に、挫傷や挟まれる危険を伴う隣接した立ち入り可能領域への最小距離など、共同作業を行う空間も基本的な要件を満たしていなければなりません。HRCアプリケーションの機能安全の規格的な基礎となるのは、IEC 61508、IEC 62061およびISO 13849-1/-2などの一般的な規格です。さらに産業ロボットの安全に関する規格「ISO 10218-1/-2」、および特に共同作業での動作用ロボットに関する規格「ISO TS 15066」も考慮する必要があります。

ハイコ・リービッシュ氏のチームは、共同作業用ロボットの設計、指針、法的要件および規格について、SICKからアドバイスと研修を受けました。「私たちはこのシステムがしっかり動作していることに大変満足しています。」ハイコ・リービッシュ氏は続けます。「実践では、ところどころに改善の余地がありますが、こうした点に関しては、パートナーであるSICKとともに、全般的なソリューションを開発してゆく予定です。」

 

2017年初頭より成功を収めているパイロットライン

ハイコ・リービッシュ氏と同僚のデヤン・プファフ氏は、バーベンハウゼンのContinental Automotive GmbHで、新たな4.0テストラインを計画し、コボットを作製しました。これらのコボットは、いわばクラウスとクララの父親にあたります。そしてクラウスとクララには、まもなくコラとクルトという兄弟が生まれる予定です。この成功を収めた転換は、Continentalでも従うべき前例となっています。コボットの採用は今後も引き続き計画されています。また、クラウスとクララは、Continental Automotive GmbHの職業訓練生によって作製されています。機械工がベースフレームを手がけ、あとは電子機械工が作製します。職業訓練生にとっては素晴らしい仕事です。彼らが将来このようなラインで作業を行うことがあれば、「これは自分で作製したことがある」と誇りを持って言うことができるでしょう。

 

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Josef Zimmermann
Josef Zimmermann

Josef Zimmermann 

Technical Industry Manager Robotics

ヨーゼフ・ツィンマーマンは、2010年よりテクニカルインダストリーマネージャーとして、ロボット工学のテーマに集中的に取り組んでいます。2000年にSICKに入社して以来、レーザ測定技術とネットワーク技術の分野でアプリケーションエンジニアとして活躍しています。今日の活動分野とは自律走行車のナビゲーションや産業・サービスロボットのプロジェクトを通して、早くから接する機会がありました。